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kitagawa D.O.

Author:kitagawa D.O.
金沢市出身、日本橋で開業している歯科医師。
患者さん本位のホスピタリティに満ちた診療、拡大鏡・顕微鏡下での精密な治療を実践している。
「患者さんの幸せがゴール」がモットー。
「診療中に眠る患者さんが多発中!」

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想いを聴くこと
こんにちは

先日、諸井英徳先生という方の講演を聞いてきました。
開業前に先生の著書を拝読し、感銘を受けて
自分の開業のスタンスがまたはっきりしてきたことを
思い出します。

先生は大阪で開業されていらっしゃるのですが、
心理学やコーチングを勉強され、
昨年まで神戸大学社会人大学の経営学部でMBAを取得されています。

初めて実際のお話を聞きましたが、
メチャメチャ面白い講演です。
普段は企業に招かれての講演が多いとの事。

テーマは人はなぜ歯科医院に行くのか?

難しい話はさておき、患者さんと一緒に幸せな将来という
ゴールを共有しましょうと。

今まではどうしても、歯科医院へ行くと

「歯磨きしていないから怒られる」

「また歯が悪くなってしまったのは私のせいです。私が手入れを
怠ったから・・・」

という歯科医院が上で患者さんが下という構図。

最近妙に下てな医院もありますが、
モンスターペイシェントという問題も出てきております。

患者さんと医院が対等であり、かつ
歯科医院も応援するから、一緒に頑張りましょうよ!
という関係を作っていけたらお互い幸せではなかろうかと。

これは私の開業時に決めたスタンスです。

そのためには患者さんの想いを聞くことが大事。

もちろん、お話しなければ始りませんから。
私も色々勉強しましたが、ついつい話してしまうんですよね〜
プロのカウンセラーは自分では殆ど話さないのだそうです。
「聞くこと」ではなく「聴くこと」。
漢字に心が入ってますよね。これが大事なんです。
相手を想う気持ちを持って接するコト。

で、先生が紹介してくださった相手を想う事の大切さを
教えてくれた実話を一つ、ご紹介します。
ある小学校の先生のお話です。


小学校で5年生の担任をしていた教師の話です。
その先生は、小学校5年生の担任になった時、自分のクラスの中に一人、
どうしても好きになれない少年がいました。服装が不潔でだらしなく、好き
になれなかったのです。先生は、中間記録に、少年の悪いところばかりを
記入するようになっていました。

ところが、ある時、少年の1年生からの記録が目に止まりました。

1年生の時は、

「朗らかで、友達が好きで、親切。勉強もよくでき、将来が楽しみ」
と記録されていました。

「間違いだ。他の子の記録に違いない。」と、先生は思いました。

2年生になると、

「母親が病気で世話をしなければならず、時々遅刻する」
と記録されていました。

3年生では、

「母親の病気が悪くなり、疲れていて、教室で居眠りする」

3年生後半の記録では、

「母親が死亡。希望を失い、悲しんでいる」

4年生になると、

「父は生きる意欲を失い、アルコール依存症となり、
 子どもに暴力をふるう」


先生の胸に激しい痛みが走りました。

ダメと決めつけていた子が突然、深い悲しみを生き抜いている生身の
人間だと感じられたのです。先生にとって、目を開かれた瞬間でした。

放課後、先生は少年に声をかけました。

「先生は夕方まで教室で仕事をするから、あなたも勉強していかない?
 分からないところは教えてあげるから。」

少年は初めて笑顔を見せました。

クリスマスの午後、少年が小さな包みを、先生の胸に押しつけてきました。
あとで開けてみると、香水の瓶でした。

亡くなったお母さんが使っていたものに違いない。
先生はその一滴をつけ、夕暮れに少年の家を訪ねました。

一人で本を読んでいた少年は、先生に気がつくと飛んできて、先生の胸に
顔を埋めて叫びました。

「ああ、お母さんの匂い!きょうは素敵なクリスマスだ!」

6年生の時、先生は少年の担任ではなくなりました。

卒業の時に、少年から一枚のカードが届きました。

「先生は僕のお母さんのようです。
 そして、今まで出会った中で、一番すばらしい先生でした。」

それから6年が経ち、またカードが届きました。

「明日は高校の卒業式です。
 僕は5年生で先生に担当してもらって、とても幸せでした。
 おかげで奨学金をもらって医学部に進学することができます。」

さらに10年が経ち、またカードが届きました。

そこには、先生と出会えたことへの感謝と、父に叩かれた体験があるから
患者の痛みがわかる医者になれると記され、こう締めくくられていました。

「僕はよく5年生の時の先生を思い出します。 あのままダメになってしまう
僕を救ってくださった先生を、神様のように感じます。大人になり、医者に
なった僕にとって最高の先生は、5年生の時に担任してくださった先生です。」


そして1年後、届いたカードは結婚式の招待状でした。


「母の席に座ってください」


と一行、書き添えられていました。



(「到知」12月号 到知出版社より)


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